宮古島の宝物「苧麻(ちょま)」を現代風にアレンジ

使えば使うほど、ツヤ感も風合いも増す素材、苧麻(ちょま)を使って伊良部島(いらぶじま)でアクセサリー作りをされているORSAさんのアトリエを訪ねました。

苧麻はイラクサ科の植物です。宮古島では古くから栽培され、古来から神聖なるものとして扱われてきました。そんな苧麻から手紡ぎした糸を用いて織られた宮古上布は、重要無形文化財に指定されています。

材料となる糸はすべて熟練者の手仕事で作られていますが、茎を蒸して皮をむき、表皮の内側にある繊維を取り出したものを指や爪で細く割き、指先でつないでいき…と、糸ができるまでには気が遠くなるほどの作業が続きます。そのようなわけで、大量生産ができず、希少価値が高くなっています。

ORSAさんがそんな貴重な苧麻をタッセルにしようと思ったきっかけは「宮古島らしい素材を使って何かを作りたい」という想いからでした。それまでも、宮古牛のバッファローホーン(角)を使ったピアスやイヤリングを制作されていたORSAさんですが、新たな素材と向き合うことになりました。

タッセルの青色は宮古島の海をイメージし、インド藍で染めているそうです。「本当は琉球藍で染めたかったんですけど、宮古島の海色を表現するのには濃すぎて…。インド藍の方が軽くて爽やかな青色が出るんです」とORSAさんは話します。

しなやかで、使うごとに強くなる苧麻。天然繊維の中では一番強い素材だそうで、水を与えると強くなるという特性があるそうです。また、手の脂分によってツヤ感が増す素材なので、長きに渡って使い込むことで“味”が出てくるといった魅力も。

しばらく使っていないとボサボサなってしまうそうですが、霧吹きで水を与え、撫でることで元の状態に戻るそうです。
 

「苧麻は長めに仕立てています。好きな長さにカットしてくださいね」とORSAさん。…カットするのはなかなか勇気が要りますね(笑)

さらりと身に付けられるタッセルは、品が良くてシンプル。さりげなくコーディネートしてみると、一気に涼しげな雰囲気に。

経年変化を楽しみながら身に付けられるアクセサリーって素敵ですよね♪

Photo&text:舘幸子