琉球王朝時代から受け継がれていく沖縄の宝物「首里織」

(画像提供:那覇伝統織物事業協同組合)
「伝統工芸の宝庫」といわれている沖縄。特に伝産法(伝統的工芸品産業の振興に関する法律)で指定された染織物の品目数は日本一で、沖縄本島内だけでも北部、中部、南部それぞれに特徴のある染織物が代々受け継がれています。

主に那覇市首里周辺で生産されている「首里織」は格調高く洗練された織物です。琉球王朝時代には上流階級の人しか身にまとうことができなかったそうで、中でも「花倉織(はなくらおり)」は最も格式が高く、王家の妃と王女のみが夏衣として着用することが許されました。また「道屯織(どうとんおり)」は、王家や士族階級用の織物で、どちらも首里でしか織られていませんでした。

琉球王朝時代に政治、経済、文化の中心地であった首里地区で織られていたこれらの技術・技法を継承するため、昭和51年に「那覇伝統織物事業協同組合」が設立されました。那覇伝統織物事業協同組合では、後継者育成事業や共同購買事業、共同販売事業等、会員の技術向上、経済的自立を目標に組合活動を行っています。

多くの織物は図案、糸繰り、染色、織り、仕上げなど、それぞれの分野ごとに専門の職人が担当をしていますが、首里織は分業せず、全工程を一人ひとりが手作業で一貫して生産する少量多品種の形態をとっています。織り手は「すべての工程をひとりで行うので、ある程度自由度があって、自分の個性を表現しやすいんです」と首里織の魅力について語ります。

王族や上流階級の人たちのために代々織り継がれてきた首里織。貴重な素材を用いて仕上げられた首里織の着物や帯は品があってとても素敵ですが、高価なため、限られた人しか身に付けることができません。そこで誕生したのが首里織メンバー4人で立ち上げた「TeMa(テマ)」。「もっと身近な存在であってほしい」「首里織の魅力に触れる機会をつくりたい」という作り手の想いから生まれた布アクセサリーのブランドです。

手織りで丹精込めて作られた布は、どんなに小さくても愛着があり、TeMaが使用するのは、このように、小さくなった首里織の布です。「手仕事から生まれた大切な布のかけらだから」という気持ちを込めて、新しい命を吹き込みました。アクセサリー作家のC-Sunsさんと話し合いを重ね、それぞれの作品、それぞれの布に合った天然石をジュエリーのように添えています。ペンダントやネックレスの丸い玉の中にはマース(塩)が入っているので、お守りとして身に付けてみるのも良さそうですね。

由緒ある伝統の首里織。着物や帯は難しいという方は、まずは日常で身に付けられるTeMaのアクセサリーから試してみませんか?

Photo&text:舘幸子