見る人に元気を与えてくれる、幸運を招くMITSUOシーサー

ギョロとした目に大きな口と鋭い牙を持ったシーサーは、鬼のような威圧感があって迫力満点です。多くの方が頭に思い浮かべる“シーサー像”はこのような険しい表情をしたシーサーではないでしょうか?

そんなイメージが覆されるのは、那覇市の繁華街 国際通りのすぐ側にあるシーサー専門店「MITSUOシーサー美術館」。店内に並ぶシーサーは一般的なシーサーとはひと味もふた味も違い、どの子も色彩豊かで愛くるしい表情をしています。また、大きさは手のひらサイズのものが多く、お手頃価格。つい集めたくなってしまう可愛さです。

手がけるのは、沖縄を拠点に世界で活動するシーサーアーティスト 宮城 光男(みやぎ みつお)さん。お父様がシーサー職人だったこともあり、光男さんは子どもの頃からシーサー作りに携わってきました。

「下地作りを手伝うと父からお小遣いをもらえたので、“お小遣いはシーサーを作らないともらえないもの”だと思っていました(笑)。みんなそうやってお小遣い稼ぎをしているものだと…」と話す光男さん。

光男さんが手がけるシーサーの表情が愛くるしいのは、シーサー作りの第一人者である故・島 常賀(しま じょうか)さんの言葉がきっかけだったと言います。

「シーサーは悪霊を追い払う魔除けの役目を果たしていると言われているけれど、魔除けではなく、魔を浄化する神様なのだ。よその国から魔物がやってきて沖縄で除けてしまうと、県外や大陸に行って悪さをしてしまうので、問題解決にはならない。魔物の悪い心をきれいに浄化して、良いものにして沖縄で一緒に仲良く暮らすんだ。沖縄のシーサーには浄化をする力がある。だから鬼のような形相ではダメだ。迫力がある中に“ちむぐくる(相手を深く思いやる温かい気持ち)”が込められていなければ。」と話す島さんの言葉にハッとさせられたと言います。

光男さんが目指すのは、伝統工芸に興味のない人たちにも振り向いてもらえるようなシーサー。“持っているだけで運気が上がるようなシーサー”です。シーサーは門柱や玄関に置くのが一般的ですが「パソコンの上にのせられるぐらいの小さな手のひらサイズも良いんじゃないか?」と思いついたそうです。そしてできあがったのが「わらば(子ども)シーサー」です。

それ以降、光男さんは“見ているだけで元気が出る、お守りのようなシーサー”を次々と生み出していきました。「Dear Okinawa,で人気の「開運シーサー箸置き」もその一つです。

MITSUOシーサー美術館で扱うシーサーは、主に沖縄のサンゴや瓦、御嶽(聖地)の水を使います。大事な所から分けてもらった水を使うことで、一体一体想いを込めながら作品作りに打ち込むことが出来るのだそうで、「自分が楽しみながら作ったシーサーは、相手にも思いが伝わるはず」と光男さん。

「夢は、沖縄北部に大きなシーサースフィンクスを作ることです。(シーサーの起源はエジプトのスフィンクスだそうで)沖縄にも同等のシーサースフィンクスを作りたいんです。僕が生きている間は無理かもしれないので、ガウディ方式で。何十年、何百年かかってもいいと思っています。建築中でも、サグラダ・ファミリアを見るために世界中から観光客が訪れるでしょう?作っている間も多くの人に見に来てもらえて、伊勢神宮や熊野三山のように毎年リピートしてもらえるような…そんな大作を手がけることが僕の夢です」と光男さんは話します。

運気を上げるために、世界中から沖縄に人が集まる。そんな日も夢ではないのかもしれません。

Photo&text:舘幸子