紅型×ミシン。沖縄の伝統技術とアイデアから生まれる新しい形「カタチキ」

「新しい中に文化がかおる、ものづくり」をコンセプトに活動する姉妹ユニット「カタチキ」。琉球王朝時代から受け継がれてきた工芸品「紅型(びんがた)」とミシンを組み合わせ、沖縄の伝統工芸技術を継承しながら、現代のスタイルに寄り添うアイテムを制作します。

柄のデザインや紅型を担当するのは、沖縄県立芸術大学で染色を学んだ姉の崎枝由美子(さきえだゆみこ)さん。大学卒業後は染織会社に勤務し、その後は紅型作家 藤村玲子(ふじむられいこ)氏に師事。藤村氏が病気で工房を閉めるまでの1年間、修行に励みました。その後、結婚・出産を終えて「そろそろ紅型活動の復帰を」と考えはじめた由美子さん。

(画像提供:カタチキ)

一方で妹の比嘉裕子(ひがゆうこ)さんは、沖縄県立那覇工業高校の服飾デザイン科を卒業後、東京の服飾専門学校へ。その後は東京のアパレル業界でスタイリストとして活躍。ファッション雑誌を中心に、モデルのファッション全般のコーディネートを担当していました。しかし、3.11東日本大震災が発生。震災をきっかけに沖縄に戻ることを決断しました。

こうして、異なるジャンルで活躍してきた異業種のふたりでしたが、裕子さんの「紅型を現代風にしてみたらどうだろう?」という言葉がきっかけとなり、新しい試みに挑戦することに。「絶妙なタイミングでした」と由美子さん。

2012年に「カタチキ」として、活動を開始。図案おこしから染色を担当する由美子さんは「修行時代は、着物や帯しか染めたことがなかったのですが、大学の時はわりと創作作品の制作をしていたんです。その頃にデザインしたものをブラッシュアップしてみたら、しっくりときました。それが今のスタンダードになっています」と話します。そして、裕子さんが立体デザインと縫製を担当することに。

格式高いイメージの紅型ですが、ストールやトートバック、クラッチバック、ブックカバー、クッションなど、ふたりの手にかかれば日常使いのアイテムに。伝統を大切にしつつ、紅型の新しい可能性を表現します。

モチーフとなっているのは、ブーゲンビリアや亀甲、アセロラの実、サルスベリなど、沖縄に自生しているものや、目に見える風景など。

こちらのストールは、家々の垣根からのぞく、風に揺れるブーゲンビリアの花をモチーフに制作。本来は多色を使い、色鮮やかに仕上げる紅型ですが「洋服に合わせやすいように」と色を絞り、顔まわりがスッキリとした印象になるよう工夫されています。シルク100%なのでとても肌触りが柔らかく、贈り物としても喜ばれています。

沖縄に生息する月桃という植物からできる月桃紙に染めた扇子は5種類あり、こちらの「首里のまちなみ」は那覇市長賞を受賞しました。儀保町から首里城近辺に歩いていると見える風景をスケッチし、図案におこして染めたのだそうです。

「姉妹なので感覚が似ているんだと思います。自分がデザインした意図を、何も言わなくても妹が汲み取ってくれて、イメージしていた通りに仕上がるんです」と由美子さん。

「新型コロナウイルスを機に、オンラインサイトにも力を入れるようになりました。布ものは質感の見せ方が難しいので、今後もっと工夫していきたいところです」

現在、南城市でコンテナショップの準備をしているというカタチキ。今後の展開がますます楽しみです。

カタチキ

Photo &text:舘幸子