今回ご紹介するのは、沖縄に自生するショウガ科の植物「月桃(ゲットウ)」の茎を使ってバッグやカゴ、日用雑貨を製作するSonda studio(ソンダスタジオ)の吉本 梓(ヨシモト アズサ)さんです。

「沖縄に住みはじめて一番身近に生えていたのが月桃でした。“この植物は何だろう?”と思って調べてみたら、抗酸化作用や抗菌作用、防虫・防カビ効果など効能が多くて“素敵な植物だなぁ”と月桃に魅力を感じたことがきっかけでした」

大阪出身の吉本さんは3才からダンス教室に通い、物心がついた頃から“舞台”に興味を持つように。お母様が連れて行ってくれたという劇団四季のミュージカル「キャッツ」で衝撃を受けた吉本さんは「私もいつかダンサーとして入団したい」と夢見るようになりましたが「舞台裏の厳しい現実(肉体的にも精神的にもとてもハードな世界だということ)」を知り、ダンサーではなく、舞台の上に作品の世界を表現する舞台装置に興味を持つようになりました。

「中学生の頃から勉強に興味が湧かなかったのですが、技術や体育、図工などの副教科だけは好きで“将来はその道に進むんだろうな”と何となく感じていました」と話す吉本さん。中学卒業後は美術専門の高校へ進み、デザイン・油絵・陶芸・ステンドグラスなど美術全般を学びました。彫刻の先生と親しかったことから彫刻の道に進むことを決心。高校卒業後は金沢美術工芸大学の彫刻専攻へ進学しました。卒業後は彫刻家の助手として勤務。その時に今のパートナー(当時ドイツで美術家として活動)と出会い、吉本さんは日本とドイツ半々の生活を送ることになりました。ドイツ滞在時は語学学校に通いながら、日本で仕入れた着物をリメイクし、オンラインショップや、週末各地で開催されるマーケットで販売をしていたそうです。
帰国後はパートナーと沖縄に移住。京都や神戸など移住候補地は他にもあったそうですが、興味があったという沖縄で1ヶ月間“お試し移住”体験をしたそうです。それから話はトントン拍子に進み、2017年に正式に沖縄移住をしました。

もともとモノづくりが好きだった吉本さんは、興味を持ちはじめた月桃で「何か作れないか」と思うようになり、すぐに月桃編みの講座に通うようになりました。その講座で基本的な編み方を習得し、その後は自分なりの表現スタイルを確立。


1.5〜2mの高さまで育った月桃を刈り取り、茎を1枚ずつ(タケノコの皮のように)剥いだら、その中をスプーンを使って削ぎます。そして細かく咲き、天日干しにして乾燥させた後、ようやく編むための材料が完成。月桃の茎から繊維を取り出す作業は時間と根気のいる作業です。

大きめのバックは、この繊維の状態からスタートして一週間ほどで出来上がるとのこと。

シンプルで洗練された雰囲気に仕上がった月桃バッグは、程よく抜け感のある風合いが素敵です。カジュアル過ぎないので幅広いファッションにも合わせやすく、色合いが上品なので大人の女性にもぴったり。

防カビ効果のある月桃で編まれたバッグはカビにくいだけでなく、濡れても安心。月桃バッグは紫外線に当てると色が濃くなるので「飴色が好きな方は、陽が当たる場所に置いてみてください」と吉本さん。

最近はバッグや日用雑貨の他にもプランツハンガー(植物を入れる鉢)を製作されているそうで、今後は植物とセットにして販売することを考えているそうです。
大量生産ができないため少量ずつにはなりますが、Dear Okinawa,でもお取り扱いさせていただきますので、どうぞお楽しみに。
Sonda Studio