個性が炸裂!沖縄県立芸術大学のピッチピチ企画展

Dear Okinawa,は単に商品を販売するだけでなく、これから活躍する工芸作家の“卵”の育成やお披露目の場として貢献することも理念として運営しています。

今回私たちが企画した「ピッチピチ×Dear Okinawa,」は、沖縄県立芸術大学で陶芸を学ぶ学生と研究生が、空港という立地を生かして作品を展示・販売するPOP UPイベントです。

作品を並べるのは、陶芸作家 今村能章さんの教え子5人+スペシャルゲスト。

2022年2月13日から3月20日までの週末、リレー方式で開催です。

それぞれの個性が炸裂する刺激的な芸術世界をご堪能ください。

では、早速メンバーの紹介をさせていただきます。

谷口明日香(たにぐちあすか)/展示・販売期間:2/13,14,20,21

小学生から高校生までバスケ一筋でした。高校3年生の夏に部活を引退し、地元(京都)の大学に行こうと思っていましたが「自分は何がしたいんだろう?」と考えてみると、自分のことなのにやりたいことが分からず、母に相談しました。

「あんた、絵描くの好きやし、芸大に行けば?」のひとことで、芸大に進もうと決意。画塾の先生が勧めてくれた沖縄県立芸術大学を受験しました。

4月から高知県の陶芸家のもとに弟子入りをします。沖縄を発つ前に、最後に自分が見せられるもの…今まで作ってきた厨子甕(沖縄の伝統的な骨壷)や、研究している器を中心に展示・販売したいと思います。

厨子甕は今まで自分向けに作っていたのですが“他の人にとっても必要なもの”ということが理解できたので、それを人に提示していきたいし、誰かを救えるなら救いたいという気持ちが強くなりました。

コタテミツキ/展示・販売期間:2/20,21,27,28

子どもの頃から絵を描くことが好きでした。美術専門の学校があることは、大学受験の準備を始めるようになってから知って、全国の芸術大学を母と見ながら相談しました。沖縄県立芸術大学に決めた理由は、沖縄という土地が「のんびりとした私の性格に合っているかもしれない」と思ったからです。

“自分の作品を発信すること”は不得意でずっとしてこなかったのですが、この機会にチャレンジしてみようと思いました。私は「フフッ」と気持ちが和むものが好きなので、そんな自分の好きなものを作品に絵付けしています。今回Dear Okinawa,に並べる作品は「蕎麦猪口」です。江戸時代後期の蕎麦猪口の高台は、丸く釉薬を剥がした跡があるのが特徴なのですが、私の作品はそれを参考にして、再現しています。蕎麦猪口だけでなく、ぐい飲みとしても使っていただけると思います。

将来は作家、表現者として生きていきたいです。地元(埼玉)に戻る気はあまりなくて、日本全国、世界を転々として活動していきたいです。

槌谷玲於(つちやれお)/展示・販売期間:2/27,28,3/6,7

中学3年生の時にアニメーションの背景に興味を持ち始めました。「将来は背景の仕事ができたらいいな」と思ったので、美術を学べる高校に進み、油絵や日本画を学びました。沖縄県立芸術大学を推薦入試で受験した際、日本画を見てくれた大学の先生から「何か違うんじゃない?」と指摘され、ガラッと方向転換。工芸(陶芸)専攻に進みました。

沖縄の大学に決めたのは、小学生の頃に父と沖縄に遊びに来たことがあったからです。

3年生の時から作り始めていた人面魚のオブジェをメインに展示・販売しようと思っています。作品のテーマは進化と退化。地球が誕生して、微生物、昆虫、魚、哺乳類になっていく過程を自分なりに解釈し、自分なりに進化させていくということをテーマにしました。

1年後は地元(高知県)に戻るかもしれません。工房を作るかは決めていませんが、窯を購入して、陶芸を続けようと思っています。

福富貴弘(ふくとみたかひろ)/展示・販売期間:3/6,7,13,14

中学2年生の時に“職業選択”の授業がありました。公務員や教師、建築士…さまざまな職業が書かれていて、自分はなんとなく研究職に惹かれていたのですが、“陶芸家”を見つけて、興味が湧きました。地元(茨城県笠間市)は陶芸の産地として知られています。笠間焼と沖縄のやちむんはどこか似ているんです。“庶民が使うための器”というところや、雰囲気も。

進路について陶芸家の先輩に相談したところ「どうせだったら一度県外に出て、外を見てきた方がいい」と勧められました。それから、当時通っていた高校に沖縄県立芸術大学の美術科のポスターが貼られていたこともあって「沖縄に行ってみよう!」と思いました。

今回展示・販売するゴブレット(脚付きのグラス)は聖杯をイメージしました。立体感と曲線を意識し、高台の部分を細く伸ばそうと思って堀りを入れています。

もうすぐ大学院を卒業しますが「いつか地元に貢献したい」と思っていたこともあって、卒業後は茨城に戻り、作家活動をしていくつもりです。

須藤祥太郎(すどうしょうたろう)/展示・販売期間:3/13,14,19,20

 

生まれも育ちも糸満です。父親がやちむんの仕事をしていたこともあって、子どもの頃から焼き物はとても身近なものでした。興味もあったので、高校は陶芸を学ぶことのできる真和志高等学校のクリエイティブアーツコースに進学し、高校で3年間陶芸を学び、さらに続けたいと思ったので沖縄県立芸術大学に進みました。

今は今村さんの工房でアルバイトをしながら、沖縄北部の土と南部の土を混ぜ合わせた赤土で作品作りを続けています。使うのは100%沖縄の土。買ってきた土を使うのは性に合わなくて、土に対して理解をしながら作品と向き合うのが好きなんです。南部の土は粘性があって成形しやすいのですが、火に弱いです。キメが細かくて使いづらいこともあります。逆に北部の土は火に強くて粘性が少ないので、混ぜ合わせて使っています。

近い将来、穴窯(薪で焚き上げる原始的な窯)を作って、独立したいです。沖縄の土はこの先もずっと使っていきたいですし、自分で土を掘って作品作りができたら良いですね。

Special guest

Yさん/展示・販売期間:3/13,14,19,20

死者(祖霊)を身近に感じながら生活する沖縄。“死”に対する意識と恐怖心、この一見否定的と思える感情を作品作りに活かしています。テーマはメメントモリ(死生観)。

沖縄のお墓(亀甲墓)は女性の子宮を模したものと言われています。この形状は、人は女性の胎内から生まれ、死後はまた胎内に戻るという「胎内回帰」の思想に基づくと考えられています。

輪廻転生の象徴である蓮の花の中に女性器をイメージした骨壷を納めたこの作品は、私なりの“死”の解釈です。

Photo &text:舘幸子