プラスチックフリー。繰り返し使える蜜蝋ラップでサステナブルな暮らしを

突然ですが “みつろうラップ”をご存知ですか?

みつろうラップは、洗って繰り返し使える環境にやさしいラップです。私たちが普段使っている食品用ラップの原材料はポリエチレンやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなど。実はプラスチックによる海洋汚染の原因のひとつになっていることから、いま世界中で問題視されています。

環境問題に対する意識や関心が高まっている昨今、私たちが日々の暮らしの中で出来ることはたくさんあります。その中のひとつが、プラスチック製のラップの代わりに“みつろうラップ”を使うこと。

みつろうラップは、布にみつろう(蜜蜂の巣からとれる蝋を精製したもの)を染み込ませて作ったラップで、洗って何度も使うことができます。適度な通気性があり、みつろうには抗菌・防腐作用と保湿性があるため、包んだ食材の鮮度を長持ちさせてくれるというメリットも。そして化学物質無添加で安心。

実はこの度、沖縄県北部でみつろうラップを製作されている「majimu(マジム)」の三浦藍子(みうらあいこ)さんにご協力いただき、Dear Okinawa,オリジナルデザインのみつろうラップが完成しましたので、紹介させてください。

三浦さんのご主人は屋我地島(やがじしま)を拠点に活動する養蜂農家なのですが、以前から使われずに溜まっていくみつろうを見て「有効活用できないか」と考え始めたそうです。「蜜蜂はたくさんいてみつろうも余っているのだから、何かカタチにできれば良いのにと思いました」と三浦さん。そんな時、ニュージーランドでみつろうラップが商品化され、販売されていることを知った三浦さんは、友人の協力でメイドイン沖縄のみつろうラップを作ることに成功しました。

みつろうを溶かし、密着度を増すために松脂と、国頭村で無添加無農薬のタイガーナッツを生産する「ナチュラルセレクション」のタイガーナッツオイルを加え、低温でトロトロになるまで混ぜたら、その液体を布に染み込ませ、乾燥させたら完成です。

以前は“使われずに溜まっていくみつろう”でしたが、majimuのラップが人気ということもあり、現在はみつろう不足に。三浦さんが信頼されているという首里の新垣養蜂園のみつろうを使用し、商品化することができました。新垣養蜂園のみつろうは自然巣のみを集めて精製しているため、農薬やパラフィンなどの化学物質を含みません。みつろうの黄色は、ミツバチが集める花粉の色(市販されている白いみつろうは、不純物を取り除いた後に漂白したもの)。無漂白の黄色いみつろうには天然成分が多く残っています。

布のデザインは、お花畑の中を優雅に泳ぐマンタをイメージ。紅型アーティスト新垣優香さんに描き起こしていただいた図柄を施したDear Okinawa,オリジナルデザインです。

紅型の着物や帯は非常に高価なのでなかなか手が出せませんが「もっと気軽に紅型を楽しんでほしい」という想いもあり、今回こちらのデザインを起用させていただきました。

みつろうは熱に弱いため、熱いお湯で洗ったり電子レンジで温めたりすることはできませんが、色鮮やかなみつろうラップは、プラスチックの廃棄量を減らせるだけでなく、キッチンや冷蔵庫内をパッと華やかに彩ってくれます。

プラスチック製のラップはとても便利なので“使用率をゼロにする”ということは難しいかもしれませんが、エコバックやマイボトルを持ち歩くように、できる範囲で脱プラスチックを始めてみませんか?

Photo &text:舘幸子